DAX96-06-01_「DX白書2021」の要約
■この要約資料の概要
原本
この要約資料の趣旨
- 中小企業におけるサイバーセキュリティ対策の取組の検討のために、DX白書2021の内容での中小企業においても意識すべき記述部分を抜粋し要約した。
改版履歴
- 2021年12月23日 改訂
- 2021年10月14日 初版
2.「DX白書2021」エグゼクティブサマリー
2.1.日米比較調査にみるDXの戦略、人材、技術
2.2.はじめに
2.3.1.DXへの取組状況
情報通信業と金融業の全社的な取組が進んでいるという点で日米の傾向は似ているが製造業の全社的な取組の割合に関しては日米差が大きい。
2.4.2.DX戦略の策定と推進
2.4.1.はじめに
- DXを推進し、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することは企業にとって喫緊の課題となっている。
- DXを全社的な取組として推進するためには、経営、IT部門、事業部門など全社で危機意識や取組指針に対する共通認識を持つ必要がある。
- そのためには、経営戦略のみならずIT戦略や事業戦略とも整合したDX戦略を策定し、経営のコミットメントのもと変革を推進していくことが重要となる。
2.4.2.外部環境変化のビジネスへの影響評価
- ~ 環境変化を事業機会として捉える ~
- DX戦略策定に際しては、自社のあるべき姿(ビジョン)達成に向け、外部環境の変化や自社のビジネスへの影響を鑑みた取組領域を設定することが必要となる。
2.4.3.DX推進プロセス~新規事業創出と既存事業への取組を並行して進める ~
- DXを進めていく上では、「新たな価値の創出」と「既存事業の業務生産性向上や働き方の変革」という二つのアプローチを同時並行に進めることが重要である。
- 既存事業へのDXから得られた原資を新たな価値創出に向けた活動に充当していくことで、企業の競争力と経営体力を高めながら、環境変化にも対応することが可能となる。
2.4.4.組織的なDX推進~経営層、IT部門、事業部門の協調~
- DXの推進にあたっては、経営層、IT部門、事業部門などの関係者が対話を通じて共通理解を形成し、ビジネス変革に向けたコンセプトを共有した上で、推進施策に取組むことが重要である。
2.4.5.評価とガバナンス~適切なKPI設定と評価頻度~
- 顧客体験価値の向上に資するKPIを設定し、その評価結果に基づいて人材や投資などのリソース配分を改善していくことが大切である。
- 日本では失敗を許容されにくい硬直的なガバナンスが変革の妨げになっている可能性がある。
- この問題を解決するためには、アジャイルの原則とアプローチに基づく評価と改善プロセス確立が望まれる。
2.5.3.デジタル時代の人材
2.5.1.企業変革を推進するためのリーダーのマインドおよびスキル
- ~リーダーシップ・実行力・コミュニケーション能力を重視する日本、顧客・業績・変化・テクノロジーリテラシーを重視する米国 ~
- DX推進を牽引する上でリーダーに求める重要な資質として、米国企業が顧客や業績などの成果評価と関連する項目を重視するのに対して、日本企業ではリーダーシップと実行力といった個人の能力を重視していることがうかがえる。
2.5.2.企業変革を推進する人材の状況
- ~DX推進を担う人材は量と質ともに不足~
- 日本企業は、DX推進のために求められる人材要件を明らかにし、人材のスキル評価や処遇といったマネジメント制度の整備をする必要がある。その上で、採用や外部人材の活用、社員の人材育成(リスキル)といった人材確保のための施策の実施が求められる。
2.5.3.社員の学び直し(リスキル)
- ~全社員を対象とした学び直しの方針策定の必要性 ~
- 日本企業は、社員の学び直しの検討に着手し、自社の方針を定めて全社員対象でのプログラムや会社選抜による学び直しのプログラムに取組むことが望まれる。
2.5.4.ITリテラシー向上に向けた企業の取組の重要性
- ~高まる社員のITリテラシー向上の重要性 ~
- 日本企業では全社員のリテラシー向上に向けた取組は米国企業と比べて遅れている。DXを推進するためには、IT部門以外の人材がデジタル技術を理解することが不可欠であることを念頭に置き、具体的な施策を実施する必要がある。
- ~社員のITリテラシーレベルの認識・把握の必要性 ~
- 日本企業は、ITリテラシーレベルの 把握状況は大きく異なる。日本企業が社員のレベルを十分に認識・把握できていないことがわかる。
- ~自社の状況に応じた施策の必要性 ~
- 日本企業は、ITリテラシー向上の重要性を認識しつつも、自社の現状を十分把握できていない。
- 社員の学び直しを推進するためには、自社の現状を把握し、あるべき姿とのギャップを埋める適切な研修プログラムや施策を実施することが望まれる。
2.6.4.DXを支える手法と技術
2.6.1.経営やビジネスニーズと整合したITシステムの実現
- ~ITシステムに対するビジネスニーズの明確化 ~
- DXを推進するためにはビジネス環境の変化に迅速に対応できるITシステムが必要となる。
- また、データを分析し、顧客の真のニーズを捉えて早期にサービスを立上げ、改善を繰り返すことで顧客価値を高めていくことも重要である。
- 日本企業においては、経営やビジネス側でITシステムに対するニーズを明確化し、環境変化への迅速かつ柔軟な対応といったビジネスニーズに整合したITシステムの構築を目指す必要がある。
2.6.2.新しい価値提供を実現するための手法
- ~IT部門と事業部門の連携による顧客課題の解決 ~
- 「デザイン思考」は製品やサービスのユーザーが抱える真の問題と最適な解決方法を探索し創出する思考方法であり、DX推進において顧客に新しい価値提供をするために有効な手法である。
- 小さなチームで開発・開発・ 適用を短期間で繰り返しながら開発する「アジャイル開発」手法や、開発チームと運用チームが技術的のみならず組織的文化的にも連携することでスピードと品質の向上を目指す「DevOps」との相性がよい。
- 顧客に新しい価値提供をするためには、適切な開発手法を選択し活用することは極めて重要である。IT部門と事業部門が連携することによって「デザイン思考」などの活用促進が望まれる。
2.6.3.DXを支えるIT基盤
- ~迅速かつ安全な機能追加・変更を実現する技術の活用 ~
- クラウドは日本でも活用が広まっており、IT基盤の構築や運営の効率化に大きな貢献をしている。しかし、より迅速かつ安全に新たな機能・サービスの追加・削除を実現するためには、さらなる技術活用が必要である。「マイクロサービス」や「コンテナ」は、こうしたビジネスニーズに応える技術である。
- 「コンテナ」は、アプリケーションの稼働に必要な動作環境をパッケージ化した「箱」であり、動作環境が異なるアプリケーションの導入を容易にする。
- 「マイクロサービス」によって構築したシステムでは、独立性の高いサービスをAPIで緩やかに結合(疎結合)させる。そのため、新サービス導入時のシステム全体への影響を下げ、メンテナンス性を向上させる。
- 「マイクロサービス」や「コンテナ」に関しては、日本企業の導入は一部にとどまっている。ビジネス側からの迅速なシステム更新へのニーズの高まりに対応するためには、今後これらの技術活用を視野に入れるべきである。
2.6.4.データ利活用
- ~組織的なデータ利活用推進策への取組 ~
- 予測困難な外部環境変化に俊敏に対応するために、データに基づき経営や現場の意思決定を行うデータドリブン経営の重要性が高まっている。
- 日本企業は「適切な情報を必要なタイミングで取り出せる」ことや「部門間で標準化したデータ分析基盤」の実現といったビジネスニーズへの対応が十分できていない。
- 日本企業では、「全社的なデータ利活用の方針や文化がない」「データ管理システムが整備されていない」「人材の確保が難しい」といった項目が課題である。
- 米国企業では、データ分析の活用を推進するChief Data Officerの任命やデータ分析を組織横断的な推進するCenter of Excellenceを設置している。
2.6.5.AIの活用
- ~さらなる利用拡大に向けた人材不足の解消 ~
- AIはデータドリブン経営や各種の自動化さらには新サービスの実現に不可欠な技術となっている。
- AIのさらなる利用拡大に向けて、 AI人材不足の解消が必要になると予想される。日本企業はDXを推進する人材と同様に、自社にとって必要となるAI人材の要件を明らかにし、そのスキル評価や処遇といったマネジメント制度の整備をする必要がある。